歌いながらしゃくりあげる智子をじっと見つめるロンポンピア・・。
「ごめんね、智子ちゃん。もう、どうにもならないわ・・。向こうへ行った ら楽しいだろうな。ベトナムの子ども達は、みんな初めて私を見るのよ。
だから私は、みんなに愛されるに違いないわ。子どもたちが休み時間になる とやってきて私を弾くの・・・そしてそれに合わせて、みんなが歌ったり、
踊ったり・・」
始めは、楽しそうに夢見るように言っていたロンポンピアだが、最後は涙声に
なる。自分を励ますように言いながら、悲しみをこらえきれない・・・そんな
様子に、智子もまた耐え切れなくなる。
「やめて!ロンポンピア!本当はほんとは悲しいんでしょう、寂しいんでしょ
う、そうでしょう?」
「・・・・・・・」
「だって、だってロンポンピアは私の友だちじゃない!友だちと別れるのが
嬉しいなんて、そんな人じゃないでしょ?」
涙をぐーーっとこらえて、ロンポンピアはようやく口を開いた。
「ごめんなさい・・・涙を見せたくなかったの」
「ロンポンピアぁ・・・」





このシーンの収録は、夏休みに行った。
妖精たちも、所々にセリフがあるし、紙ねんどのバッジを作る裏方さんたちも
他のキャストも、総勢10人近く音楽室にいた。
他の音が邪魔にならないように、窓を締め切って。
いや〜、ホントに熱気ムンムンだった。
一番大変だったのは、やっぱりリヨ子だろう。
泣きながらセリフを言って、その場ではOKでも録音したのを聞いてみると、
鼻がじゅるじゅるする音が大きすぎてダメだったり・・。
よし!と思ったら、お腹がグーーッと鳴ってボツになり(笑)。
本当に泣いてしまってヒックヒックしてセリフが全く言えなかったり。
何度も何度もやり直した。
やっとフナ子からOKが出た時は、ホッとした。
開け放たれた窓から、気持ちのいい風が吹き込んだ。
みんな、汗びっしょりだった (⌒・⌒)ゞ
私は、それらしくセリフを言う。
でも、リヨ子は本当に泣いていた。
そんな風に感情をワーッと出せるリヨ子が、とてもまぶしかったのを覚えて
いる。
「泣かないでちゃんとセリフを言って!」
とフナ子はダメ出しを繰り返すのだが、たぶん、それが芝居なんだろうけど、
私はリヨ子をすごいと思いながら見ていた。




