2008-07-17(Thu)
Moon Bird 18☆
マヒロの家から帰ったカケルを、ミーチャが走って出迎えた。
「お帰りなさい、カケルお兄ちゃん!!」 ミーチャは、ある日突然現れた、カケルの母・美紗子の5歳の頃の記憶・・・分身なのだ。 なぜ、母から分かれてしまったのか、ミーチャ自身にも、誰にもわからない。 ミーチャを、自分の5歳の娘だと祖母の幸子が認めたので、ミーチャはあの日以来ずっと この家で暮らしている。 最も、祖母の幸子とカケルにしか、ミーチャの姿は見えないらしいが・・・。 ミーチャは、日に日に明るくなって行った。 幸子もミーチャをかわいがり、不思議な存在であるということを、すっかり忘れているようだ。 この家で唯一、ミーチャが見えないカケルの父は帰宅が遅いので、 3人は不思議な関係ながらも、この家で楽しく暮らしていた。 「今日はねえ、カレーなのよ! ミーチャもカレー大好き!」 ミーチャは、靴を脱ぎ、洗面所で手を洗ってリビングに向かうカケルのそばではしゃぎ回る。 カレーは、カケルの大好物でもあるので、自然にカケルの顔もほころんだ。 「お帰り、カケル。ミーチャ、カケルが帰るのがよくわかったね。」 幸子もまた、笑顔でカケルを迎える。 カケルの心は、はずんであたたかい。 家族・・・・。 そうか、自分にも、あたたかい家族がいる! カケルは、カレーの匂いに包まれながら、嬉しさをかみしめた。 「カケル、今日うちにね、お前の担任の先生が見えたんだよ。」 夢中でカレーをほおばるカケルに、幸子が切り出す。 カケルは一瞬、ギョッとしたが、幸子の笑顔があたたかいので、そのままカレーを食べ続けた。 「いろいろ伺ったんだよ。お前のこと。 大変だったんだね・・・美紗子のこともあるのに・・ いじめた相手を助けるなんて・・・・えらかったね、カケル!」 幸子は、身を乗り出して向かい側の席から手をのばして、カケルの頭をぐりぐりなでた。 その目からは、涙がポロポロ零れ落ちていた。 カケルは、学校でのことを祖母に知られて恥ずかしかったが、祖母がほめてくれ、そして泣いて くれていることが、とてもうれしかった。 ・・・・・・だから今日は、カレーなんだ・・・。 「うん、ありがとう・・・・」 カケルは、ありったけの思いをこめて、幸子に微笑んだ。 こみ上げる涙がこぼれないように、歯をくいしばりながら。 「幸せ」・・・・これがそうなんだ。 カケルはこの瞬間を、心の中で抱きしめた。 theme : 児童文学・童話・絵本 - genre : 小説・文学 |


