MoonBird 14
2007/09/11(Tue)
  休み時間にマヒロがやってくるのではないかとカケルは身構えていたが
マヒロはカケルの存在を忘れたかのように振舞っていた。
 そして、3時間目の音楽の授業を受けるために教室を出たカケルは、暗く
よどんだ冷たい視線を背中に感じた。
   「おい! カケロー! 何だよさっきのは!!」
案の定マヒロたちで、カケルを取り囲み同じ歩調で歩き始めた。
   「ボクはカケルだー・・・ってふざけんなよなー。
  カケロ!! そして今からカケタにしてやる!」
 いつもよりもスゴんで見せる。
   「あの人、前の学校で名前のことでいじめられていたの。」
ユナの言葉を思い出した。
 すぅ〜っと息を吸い込む。 
  (もう、負けない!!)
校舎と校舎の渡り廊下でカケルは立ち止まり、真正面からマヒロを見据えた。
   「人の名前をからかって、一体何になるんだ!」
マヒロは、口元をひきつらせて2,3歩下がった。
   「何だよ、エラそうに!! カケタのくせに!!」
   「もうやめてくれないかな、マヒロ」
 カケルは、そわそわと落ち着きをなくし始めたマヒロを、さらに目に力を
こめて見つめ続けた。
   「くっそぉーーーっ!お前なんか、お、お前なんかこうしてやる!!」
 マヒロはいきなり右のこぶしをカケルめがけて振り下ろした。
カケルはとっさに両手で頭をガードした・・・。
 おかしなことに次の瞬間、マヒロは自分の頭を思い切り殴っていた。
    !( ̄∇ ̄ ;)えっ?
   「うっ・・・ちくしょう!!」
マヒロはまたこぶしを振り上げ、また自分を殴った。
   「ちくしょう! くっそーー!一体何なんだぁ!!」
何度やっても、結果は自分の頭を殴ることになってしまう。
マヒロはパニックに陥り、大声で叫びながら自分の頭を殴り続けた。
 やがて騒ぎを聞きつけた男の先生が、野次馬たちを押しのけて、マヒロを
止め、泣き叫ぶマヒロをどこかに引きずって行った。
カケルも野次馬の生徒たちも、あっけにとられ呆然と見つめていた・・・。
 ふと気が付いて、他の生徒と共に音楽室へ向かう中、ふとユナとケルンが
くすくす笑う声を聞いたようにな気がした。
 −−−−−−−もしかして・・・?
 ユナとケルンが助けてくれた?

  「見直したわ、天原くん」
振り返ると、本宮マミだった。
その隣りにいる女子も、後ろの女子も、カケルに笑顔を向けた。
  「案外やるじゃない!」
  「いや・・もうやめてほしかっただけだよ」
  「でも、どうしちゃったのかしらね、篠山くん・・」
  「さあ・・・」
本宮マミは、ふと笑いかけると先に歩いて行った。

  やるだけのことはやった。
 マヒロは果たして、もうやめてくれるだろうか・・・・。
すがすがしい気持ちと不安な気持ちが交互に押し寄せる。
マヒロは、結果的に自分自身を殴っていたけれど、暴力を振るおうとしていた
・・・・これからもっとひどいことになりはしないかと、カケルはふいに怖くなった。

    その時!!

  「あ、あれ・・・・篠山くん?」
女子が突然、叫んで窓を指差した。
音楽室とは反対側の校舎の屋上に、小さな人影が見えた。
黒いTシャツと灰色のズボンと髪の感じから察して、やはりマヒロのようだ。

  まさか・・・・自殺!?

 カケルは思わず音楽室を飛び出した。
   
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