重い心をひきずりながら、カケルは病院から自分の部屋にやっとたどり着いた。
「お帰りなさい、カケルさん。」
ケルンが迎える。
「あ・・うん・・。」
カケルは、深い深いため息をつきながら、ランドセルを肩からはずし、ドサッと床に落とした。
そして、ベッドに腰を下ろした。
ケルンは、そんなカケルを見上げながら、おそるおそる横歩きをして
そっと顔色をうかがっている。
その困ったような、限りなく直線に近い八の字の目・・・。
カケルは、思わずぷっと吹き出してしまった。
・・・・・全く、ケルンにはかなわない・・・・。
「何だよ、ケルン。」
「あ、あのーー、ユナさんがお話があるとかで・・。」
そう言いながらケルンは素早く動き、ルビーの顔を壁に向かせて、ポンと
ルビーの頭を軽くたたいた。
「こちら、ケルンです。ユナさん。」
「はいはい、つながってるわよーー。」
「早めにお願いしますよー。」
「わかってるって☆ お兄ちゃん!」
「ここだよ。」
「あのね、ひとつ提案があるの。5歳のお母さんのえーと・・。」
「ミーチャのこと?」
「そうそう、ミーチャをね、お母さんに会わせたらどうかと思って。」 「え? 病院に連れて行くって・・こと?」
「そう! ミーチャが何か感じるかも知れないわ。」
「え・・・で、でも・・。」
「じゃあ、またね。」
ユナの通信は、またもやいきなりブチッと切れた。
カケルとケルンは顔を見合わせて、ヤレヤレという仕草を同時にして、プッと吹き出した。
「ミーチャを母さんにって・・ミーチャは大丈夫かなあ。」
「イチかバチかやってみればいいじゃないですか!」
「う、うん・・そうだね、やってみるよ!!」
決行は、明日!!
カケルの胸に、希望が生まれた。
さっきまで、抱えきれないほど重いかたまりを抱えていたのがウソのようだった。
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