MOONBird 5☆
2007/06/18(Mon)
 ・・・・・あれ?
 いきなり目が覚めた。
確か、さっきベッドに寝たよな・・・ということは、これは夢?
周りは、ただただ白い。
白い四角い部屋のようでいて、果てしなく遠くに壁があるような気がする。
足をつけているはずの床も、とても頼りない。
まるで宙に浮いているようだ。
   え? ち・宙に・・浮いてる?
カケルは、おそるおそる足元を見た。
床もまるで遠くにある気がする・・・遠く?
カケルは急に恐怖にかられた。
  「お、落ちる!!」
そう思った瞬間、目の前の景色がぐらりとゆれた。
目をギュッとつぶり、歯をくいしばる。

  「お兄ちゃん!」
いきなり肩を軽く叩かれて、カケルはギュッとつぶったまぶたをゆるめて目を
開けた。
     え?
周りは、一面の草原だ。草のにおいがする。
  「お久しぶり、お兄ちゃん!」
振り向いたカケルの目に、いたずらっぽく笑っているユナが写った。
  「ユ・ユナ?」
カケルは訳がわからなくて、ただぼんやりとユナを見つめていた。
  「ここはどこかって? 夢の中よ、お兄ちゃんの。」
  「夢?」
遠くで小鳥の声がする。
ふわっと風が二人を包んで通り抜け、足元の草がかすかにゆれた。
ユナの着ている白いワンピースの裾も、波打つようにゆれた。
  「知ってる? 夢を見ている時、人は霊界に来ているのよ。」
  「れ、霊界に?」
  「そうよ。霊界の感覚を忘れないようにっていうことみたい。」
  「え? そ・そんな・・・ま・まだ死んでないのに!」
ユナは、ぷっと吹き出しながら、ふいに空中に手のひらを上に向けた。
すると小さな手鏡が現れた。
それはまた宙に浮き、カケルの等身大の大きさの大きな鏡になり、カケルの全身を映し出した。
鏡の中には、驚いたカケルの顔・・そしてカケルの頭上から、銀色に輝くクモの糸のようなものが果てしなく伸びているのが見えた。
  「それは、シルバーコードよ。」
  「しるばーこおど?」
  「そうよ。肉体と魂をつないでいるの。だからちゃんと帰れるから
   心配しないで。」
  「き、切れることは・・・ないの?」
  「霊界のは壊れたりしないわ、物じゃないから。」
物じゃない・・・ユナの言葉は、いちいちカケルを戸惑わせる。
そんなカケルを、ユナは余裕たっぷりの笑顔で見つめる。
・・・・・・それもまた、腹立だしい。
鏡はいつのまにか、消えていた。
・・・・・・いちいちわからない。
 ユナは、カケルにくるりと背を向けて歩き出した。
今度は、二人の目の前に、大きな木が現れた。
・・・・・・またいちいちわからない。
けれども、だんだんなつかしい気持ちがこみ上げてきた。
この木は、どこかで見たことがある・・・・。
もしかして、ユナと遊んだ最初で最後のあの日の・・・。
 一瞬、周りの景色がグニャリとゆがみ、カケルの前に満月が!
そして金色の草が足元からするすると伸びて・・・。
あれから、何度も何度も心に思い描いた景色が広がった。
  え?でも、さっきまで緑色の草原だったのに・・・。
カケルがそう思った瞬間、なつかしい風景ははじめから何もなかったかのように消え失せていた。
  「あ・・・・?」
カケルはその場にヘナヘナとすわりこんだ。
ユナも、その横にペタンと腰を下ろす。
   

  
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