2007-04-26(Thu)
祖母の決断
実家のある鹿児島に住んでいる私の祖母が入院したのは、2週間くらい前の
ことだった。 何か体の調子が悪いからと、町内の医院に行くと、そのまま近くの大きな 病院へ救急車で運ばれたのだ。 何と、心臓に欠陥が見つかり、肺にも白い影があった。 それでも祖母は、「何ともないよ」とケロリとしていたという。 それから順調に回復して、いよいよ退院という時になって、祖母が足の痛みを訴えた。 原因がわからずに日にちがたって行き・・・その間に祖母の足はどんどん血が 通わなくなり、色が変わって行ったのだそうだ。 やがてつきとめた原因は・・・心臓の働きが弱ったために、血のかたまりが 足に流れてしまい、血管を断絶してしまったのだそうだ。 もう少し早く見つかれば、何とかしようがあったのだけど、もうすでに遅かった・・・・・。 祖母は、足が痛かったのに、ガマンしていたのだ。 入院してから、一度もナースコールを押さなかったそうだ。 ものすごく気丈な人で、少しばかり具合が悪くても弱音をはかない。 人に弱みを見せない。 なので、医者も看護士さんも、気付かずに発見が遅れてしまったのだ。 このままでは、足は壊死が始まってしまう。 そしてその菌が全身に回ってしまうと、即、命にかかわってしまう。 なので・・・・・。 なので・・・・・・・・・・。 足を、その付け根から、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・切断するしかないと・・・・・・・。 病気にならないように、すぐ近くに住む、私の父と母に迷惑をかけないように と、ものすごく健康に気を使って、93歳の今まで静かに暮らしてきた祖母。 何年か前から、息子である叔父と暮らしていた。 その祖母に、こんな過酷な現実がつきつけられるなんて!! 祖母は、気丈な人なので、医者の説明にうなづいて、 「わかりました。切ってください。」 と言ったという。 93歳の体にそんな手術が耐えられるのか疑問だ。 でも、しなければ命にかかわる。 私は、奇跡が起きることを信じて、祈った。 私にできることは、そうするしかなかったから。 絶対に、足を切るなんてこと、させたくなかった。 でも・・・ふと、考えた。 でも、祖母は足を失うけれど、それはとても悲しいことだけれど、それでも 祖母にはまだたくさんの幸福がある。 目が見えるし、耳も聞こえているし、口もきけるし。 手もちゃんとある。何よりも、ちゃんと考えられる。 祖母は、じゅうぶんに幸せなのだ。 そのことに気付いてほしいと・・・・。 家族で祖母に手紙を書いてfaxして、祖母に届けてもらった。 おばあちゃんへ おばあちゃんには、きれいな物やあたたかい笑顔を 見ることのできる 目があるよ。 小鳥の声や風の音や、美しい音楽を聞くことのできる 耳があるよ。 誰かのために 優しい言葉をかけてあげられる、口があるよ。 ペンを持ったり、おはしやコップや、いろんな物を持ったり 何かを作ったり・・・・ 誰かにそっと差し伸べることのできる、手があるよ。 おばあちゃんは、たくさんの幸福たちに囲まれているんだよ。 幸福はね、探してあげると、どんどん どんどん増えて行くんだよ。 だから、大丈夫だよ! 仏様も、あたたかい目で見守っていて下さるよ。 おばあちゃん、大好きだよ! 生きていてくれて ありがとう! おばあちゃんが生きていてくれたから、私たちは 生まれてくることができたんだよ。 こうやって、今、生きているんだよ。 だから、これからも自信を持って生きて下さい。 幸福を、たくさんたくさん、見つけて行こうね。 だいじょうぶだよ! 祖母は、この手紙をとても喜んでくれて、昨日はとても元気だったそうだ けど、今日は意識がもうろうとした感じだったという。 手術の日は・・・・・明日。 もうすぐ、今日になろうとしている。 やっぱり、やっぱり・・・・・。 いくら気丈なおばあちゃんでも、怖いよね、イヤだよね! 私の手紙は、きれいごとだよね。 おばあちゃん・・・・・。 がんばって!! ムリはしなくていいよって言いたいけど、でも、 生きたいよね。 おばあちゃんにとって、つらい決断だよね。 あとは、おばあちゃんと仏さまに任せるしかないよね。 私たちはみんな、それにしたがうしかないと思う。 誰のせいでもなく、おばあちゃんの意思なんだよね。 ずっとずっと、考えがまとまらなくて・・・。 私たちは、心をこめておばあちゃんを支えるしかないよね。 おばあちゃん、がんばって!! |


