ユナの背中を追いかけていると、突然黄金色の草がカケルの首のあたりまで伸びてきた。 見ると、またはるか向こうまで波のように草の海は続いて行った。
「うわぁ!」
と声をあげたのはケルンで、草のてっぺんでジタバタしている。
カケルは、黄金色の草をかき分けかき分け、ケルンの方へ行こうとした。
ところがケルンは、本人の意思とは関係なく、草のてっぺんをジャンプしながら遠ざかって行く。
「どうなってるんだ?」
「カ、ケ、ルさー、んた、す、け、てえーーー!」
ケルンの姿が、現れては消えて行く。
ふと、黄金色の草からぽわぽわとまた、ホタルのような光が生まれた。
そして、カケルのまわりでくるくるとゆっくり、または早く動いていた。
「そうだ、ユナをつかまえなくちゃ!」
カケルが独り言を言うと、ホタルのような光たちは、こっちへおいでと言うよ
うに、先へ集まってくるくる回った。
そちらへ草をかき分けて進むと、また光たちが先へ進む。
やがて、ケルンを抱いてうずくまっているユナを発見した。
「あーっ、見つかっちゃった!」
ユナは、そのまま転がってケラケラ笑った。光たちも、重なり合い、くるくる
回りながら、2人を優しく囲んでいた。
「うわぁーーーっ!」
また、ケルンが突然叫ぶ。何と今度は、ケルンをすっぽり包んだシャボン玉が宙に浮き、ゆっくりと空へ上り始めた。
「あーっ、ずるいケルン! あたしも乗せて!」
ユナが光たちに言うと、あっという間にユナを乗せたシャボン玉が、宙に浮いた。
「おい、ユナ!」
と慌てるカケルもまた、シャボン玉の中にいた。
月の光が、空に浮かんだ3人を黄金色に染める。
いつの間にかユナを乗せたシャボン玉が、カケルの横に並んでいた。
ユナもまた、月を見つめていた。
「あたしね、病院の窓から見えるお月様を見るのが好きだったの。お日様
はまぶしすぎて見ていられないけど、お月様ならずっと見ていられるから。
一番好きなのは、やっぱり満月よ!」
カケルの目に、毎日月を見つめるユナの姿が写った。毎日、どんな思いで見つめていたのだろう・・・。
月を見つめているユナを、カケルはそうっと見続けた。
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