2006-02-16(Thu)
月の光 第二章 ユナ
チョウたちは、どんどん地上に向かって降りて行く。
やがて、やや緊張ぎみのカケルとケルンをのせた黄金色のじゅうたんは、大きな木の根元に、ふわりと止まった。 「着きましたよ、カケルさん」 そこは、一度遠足で来たことのある大きな公園の中にある、芝生の広場だった。 そして・・・ユナがそこにいた。 ユナの横には、背中まである長い髪に、白い、ひざまでの丈のドレスを着た女の人が立っていた。 ユナそっくりな、あたたかくてふわりとした笑顔だ。 「こんばんは、カケル。私はリーデ。ユナの・・古い友だち・・かな? よく来てくれたわ。」 古い友だちって何だよ・・そう思った時、ユナがとびきりの笑顔ですぐそば までかけよってきた。 「来てくれてありがとう、お兄ちゃん。会いたかったのよ、すごく!」 カケルは、返す言葉が見つからなくてしきりに頭をかいた。 「あ、う・・うん。ユナ、でも大丈夫なの? 外に出たりして」 ここにいるユナは、病院で見たユナとは全く違う。まるで・・・。 まるで病気じゃないみたいだ。 「病気なのは、体なの。ユナの心はとっても元気よ。だから、心配しな いで。」 リーデがかわりに答えた。カケルは、自分の肉体はベッドに寝ていたことを 思い出して、何となくわかったような気がした。 「ケルンも、ありがとう! お兄ちゃんをつれてきてくれて!」 ユナが声をかけるとケルンはふにゃあ、と笑ってユナの腕の中に飛び込んだ。 「あ、お手伝い券・・」 カケルがそう言うと、ケルンはポムッと画用紙のお手伝い券に戻った。 「ありがとう、お兄ちゃん。これはあたしの宝物よ!」 「で、何を頼みたいの? ボクに。」 するとユナは、またとびきりの笑顔になった。 「遊んでほしいの。あたしと。ここで。」 そばにいたリーデが、ユナの両方の肩に手を置いた。 「お兄ちゃんと、一度でいいから遊びたいっていうのが、ユナの願いだっ たのよ。」 「そう・・。」 カケルは、胸がギュッと苦しくなった。 カケルのまわりで、チョウたちがふわりふわりと舞っていた。月の光の粉が ホタルのように淡く光って落ちて行く。 すると、落ちた地面がぼうっと光り始めた。あっちもこっちも、波のように 光がはるか彼方まで広がって行く。あたりはまるで、カケルたちが乗ってきた 黄金色のじゅうたんのようになった。 「わあぁー、明るい!お月様の国に来たみたい!」 白にピンクの小さな花がたくさんプリントされたワンピースを着たユナは、 いきなりカケルの手をとって駆け出した。 「ユ・ユナ・・・」 あわてて走り出すと、ユナはカケルの手を放し、更に遠くまで走って行った。 2人が走ると、光がふわりとはじけた。 ユナの手から離れた「お手伝い券」が、くるくる回ってケルンに戻り、あた ふたと2人の後を追う。 theme : 児童文学・童話・絵本 - genre : 小説・文学 |


