「そうねえ、この学校ができてからだから、もう60年くらい前になる
かしら」
「へえー、じゃあロンポンピアは、60歳のおばあちゃんなんだ」
「いいえ違うわ、私はずーっと前からいるわ。ピアノが生まれた頃から
よ」
〜
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「私たちの仲間はみんなそうよ。ピアノを弾いてくれさえしたら、いつま
でも生きていけるの」
「私たちって・・・他にも妖精がいるの?」
「どこにだっているわ!」
♪ 木漏れ日ゆれる 夏の午後には
妖精たちが 踊ってるよ
古い建物の中では
妖精たちが かくれんぼ
会ってみたいな ゆかいな仲間たちに
会ってみたいな
メルヘンの世界を旅してみたいな
この歌を録音している時に、譜面台が勝手にズリズリ下がって行ってNGになった。
本番では、他の妖精たちはピアノの下に隠れていて、この歌の時にそーっと
私とリヨ子を先頭に3角形に並ぶ。
゛会ってみたいな゛で、一人ずつ両手を顔の横に広げて後ろの人(妖精)をふり向くのだが、木の精の男の子のしぐさが一番かわいかった。
そして突然音楽室のドアが開き、カチューシャでおデコを全開にしたフナ子が登場する。
あわてふためいてピアノの下に隠れる妖精たち。
「あ〜ら智子さん、誰と話してたの?」
「あ、先輩・・・いえ別に」
「でも何だか聞こえたわ」
「あはは・・き・気のせい気のせい・・きっ今日は練習は?」
「もっちろんやるわ、よーーく聞いてて、ねっ!」
そしてフナ子は大げさな身振りで ねこふんじやった を弾く。
「先輩、いつになく素晴らしいお手前で」 パチパチ
「今のは、ほんの指ならしよ!ちゃんと聞いてて!」
と、更に激しく ねこふんじゃった を演奏する。
「先輩、タオル」
「優しいのね、智子さん」
そしてフナ子は、そのタオルを振り回しながら、カーロ・ミオ・ベ〜ンと歌いながら退場して行く。
主人公の智子は、フナ子がモデルだが、本当の?フナ子をここで登場させたのだ。
「びっくりしたあ!」
「とっても有名なのよ、社長令嬢なの。ひっどいおしゃべりで」
「知ってる知ってる!へったくそなくせして大きな声で歌う人でしょう?
金小路金子(かねこうじきんこ)って名前でしょう?」
「どこで聞いたの?」
「ソフィールからよ」
「ソフィールって?」
「風の精のソフィール。この辺で一番の情報屋さん」
「へぇー、おっどろきい! 会いたいなあ」
「みんな恥ずかしがりやさんなの。夜にしか出てこないわ」
「えー・・夜には来れないわ」
「夜間外出はいけないって、先生が」
「素直なのねえ、智子ちゃんは」
「それに、夜になったらオルガンのおばけが出るって友達が言ってたわ」
補足しておくが、フナ子は社長令嬢ではない(笑)。金小路金子という名前でもない。
「あ! こんな時間よ。バスの時間は大丈夫なの?」
「あっいっけない!また明日ね、ロンポンピア!」
バタバタと走って行く智子・・・・。
それを見送ってから、キッと振り返るロンポンピア。
「オルガンの精とあくびの精、出てらっしゃい!」
そして、オルガンの精に素早く変身したフナ子とズミホが出てくる。
「セーチュアにパープロイズ! まだあの悪いクセ治ってないのね!」
「だって楽しいんだもん、夜になるとおいらうずうずしてきて、なっ!」
「なっ!」
♪ 夜になったら うわぁーーっはっはーー
お化けのフリして うわははははは
夜はボクたちの天国
わっはっは わっはっは
ぶんちゃっちゃっちゃーー
この歌は、一見かわいい歌だが、本番で3年の男子たちが妙な反応を示した。
どうやら、違う風に妄想したらしい・・・
全くしょうがないヤツらだよ ┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ〜
「あなたたちのせいよ。ちょっと前までは音楽部も活動していたけれど
今じゃたまーにやってるだけ。それも4人きり。
ここも、いつ壊されるかわかんないわ」
「そういえば、ここは・・・今週中になくなっちゃうって話だよ」
「新しい校舎になったら、お別れね」
「えっ、それどういうこと?」
「ううん、何でもない。それより、引越しの準備しなきゃ!」
「じゃあ、ちょっとみんなに知らせてくる!」
そう、このお話は、森周先生とシャーロットのミュージカルの思い出が
いっぱいつまった、あの古い音楽室が舞台なのである。
2度と中に入れないまま壊されてしまった、なつかしい音楽室・・・。




