Moon Bird 19☆ 
07/17.Thu12:05
   「あの人・・・マヒロさんだっけ? 転校しちゃうのね。」

 幸せな気持ちで眠りについた瞬間、カケルはユナとの会議の場所にいた。
ここは霊界のどこかで、いつでも青々と葉を茂らせている大きな木の下である。

  「ユナ? あ、うん、そうみたい。違う学校で新しく始めるって。」

さすがに最近では眠ってからいきなりここに呼ばれても、カケルは驚かなくなっていた。

  「ふう〜ん・・まあ、憑いてた悪魔が離れたから大丈夫だとは思うけど、また戻らない
   ように気をつけなきゃいけないんだけどね・・・」

 ユナは、白い丸テーブルにほおづえをついた。

 「悪魔?・・・・・また戻るってどういうこと?」

 「人はねえ、自分の考えって自分だけにしかわからないって思っているけれど、実は
  とんでもないのよ。」

 ユナは、目を見開いておどすようにカケルを見た。

 「まずは、その人の守護霊でしょ、それから人の思いは一瞬のうちに地球を駆け巡るんですって。
  そしてね、その思いに興味を持った人がキャッチしてその人のもとに一瞬のうちにやってくるん
 ですって。類は友を呼ぶって言うらしいんだけど。」

 カケルは、言葉もなくユナを見つめる。

 「ニュースで、殺人を犯した人が精神錯乱状態で罪に問われない・・・とか何とか言うじゃない?
 あれって、ホント、ちゃんちゃらおかしいのよ!
  だってさ、自分がいつもいつも考えていることが同じ思いを持つ人や、霊を引き寄せているの。
 そして最悪の場合、心と体を乗っ取られちゃうの。
 だから、思いっきり、思いっきり、その人の責任なのよ!!
 心と体を乗っ取られたにしても、それを呼び込んだのはその人自身なのよ。
 全くわかってないのよ、そこんとこ!!」

 ユナは、テーブルをバン!と叩いたり、腕を組んでウンウンとうなづきながら言う。

 「でも、人には、良心があって理性があるから悪い思いと戦うの。そしてたいていは理性が勝つ
 ものなのよ。そんなことをしてはいけないって。
 その人の守護霊も一生懸命応援してるし。
 でも、最近は、簡単に悪魔の言いなりになる人が多すぎるのよ。
 これは嘆かわしい事態だって・・・・この間学校で先生が言ってたわ。」

 霊界にも学校があって、ユナはそこでいろいろ学ぶらしい・・・。

 「心の光を信じて、正しく生きる努力をしなくちゃいけないのよ、人は。
  そうでなくちゃ、この世はどんどん悪魔に支配されて安心して暮らせなくなる。
  地獄の住人が増えると、この世の人たちはどんどん影響されちゃうの。」

 その時、カケルはマヒロに言葉の暴力を受けていた時、マヒロとその仲間たちの周りに黒いモヤの
ようなものが漂い、教室全体が重く空気がよどんでいたことを思い出した。

 「なるほどね・・・・じゃあマヒロはこれからそんな考えを持たなければ、またあんな黒いモヤに
 やられないってこと?」

 「そう! 次の学校では、ちゃんとできればいいわね。」

 「大丈夫だよ、マヒロなら!」

 カケルは、心からそう言った。

 「お兄ちゃん、ひとつ乗り越えて成長したわね!」

 ユナは立ち上がって、カケルの肩をポンポン叩いた。

 「あのなあ・・・上から目線はやめてくれよ!」

 照れ隠しに軽く睨むと、ユナはすまして言った。

 「あら、こっちの世界では、あたしの方がセンパイよ、言っとくけど。
  それに、こっちの世界じゃ、好きな年齢になれるんだから!。」

 「ええ〜っそんなのアリかよ!? だけどオレの年は越えるなよな。」

 「わかってるって、お兄ちゃんって呼べなくなるもんね。」

 「カンベンしてくれよな〜。」


 あはは・・・・と笑うユナの顔がふいにゆらぎ、カケルはいきなりベッドの上で目を覚ました。

 辺りは、まだ暗い。

 下で、電話の音が鳴り響いている。

 そのせいか・・・・・。

 「はい、え? あ、病院ですか? え?  美紗子が? はいすぐに伺います。」

 緊張した幸子の声が、朝の静寂を破る。

 カケルはガバッとベッドから跳ね起き、階段を駆け下りた。

 「カケル・・・起きたの? 美紗子が・・美紗子が・・し・心臓発作を起こしたらしいんだよ。」

 幸子はカケルにしがみついた。

 心臓発作・・・・?

     そんな!!

  母さんは、心臓は全然悪くないはずだ!!

    それなのに、なぜ?

 カケルは、祖母を支えながら、呆然と立ち尽くしていた。


 
* テーマ:児童文学・童話・絵本 - ジャンル:小説・文学 *
  Moon Bird  18☆ 
07/17.Thu11:19
   マヒロの家から帰ったカケルを、ミーチャが走って出迎えた。

     「お帰りなさい、カケルお兄ちゃん!!」

 ミーチャは、ある日突然現れた、カケルの母・美紗子の5歳の頃の記憶・・・分身なのだ。
 なぜ、母から分かれてしまったのか、ミーチャ自身にも、誰にもわからない。

 ミーチャを、自分の5歳の娘だと祖母の幸子が認めたので、ミーチャはあの日以来ずっと
この家で暮らしている。

 最も、祖母の幸子とカケルにしか、ミーチャの姿は見えないらしいが・・・。

 ミーチャは、日に日に明るくなって行った。
幸子もミーチャをかわいがり、不思議な存在であるということを、すっかり忘れているようだ。
この家で唯一、ミーチャが見えないカケルの父は帰宅が遅いので、
3人は不思議な関係ながらも、この家で楽しく暮らしていた。

  「今日はねえ、カレーなのよ! ミーチャもカレー大好き!」
 ミーチャは、靴を脱ぎ、洗面所で手を洗ってリビングに向かうカケルのそばではしゃぎ回る。
カレーは、カケルの大好物でもあるので、自然にカケルの顔もほころんだ。

  「お帰り、カケル。ミーチャ、カケルが帰るのがよくわかったね。」
幸子もまた、笑顔でカケルを迎える。
 
 カケルの心は、はずんであたたかい。
   
     家族・・・・。

 そうか、自分にも、あたたかい家族がいる!

 カケルは、カレーの匂いに包まれながら、嬉しさをかみしめた。


  「カケル、今日うちにね、お前の担任の先生が見えたんだよ。」
夢中でカレーをほおばるカケルに、幸子が切り出す。

  カケルは一瞬、ギョッとしたが、幸子の笑顔があたたかいので、そのままカレーを食べ続けた。

  「いろいろ伺ったんだよ。お前のこと。 大変だったんだね・・・美紗子のこともあるのに・・
   いじめた相手を助けるなんて・・・・えらかったね、カケル!」

 幸子は、身を乗り出して向かい側の席から手をのばして、カケルの頭をぐりぐりなでた。
その目からは、涙がポロポロ零れ落ちていた。

 カケルは、学校でのことを祖母に知られて恥ずかしかったが、祖母がほめてくれ、そして泣いて
くれていることが、とてもうれしかった。

  ・・・・・・だから今日は、カレーなんだ・・・。

   「うん、ありがとう・・・・」

 カケルは、ありったけの思いをこめて、幸子に微笑んだ。
こみ上げる涙がこぼれないように、歯をくいしばりながら。

 「幸せ」・・・・これがそうなんだ。
カケルはこの瞬間を、心の中で抱きしめた。


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白うさぎ・・40代に突入! 元気に行きますよっ!
黒うさぎ・・ガラスの腰が悩みのタネ
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